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社会福祉原論・児童福祉論

震災はなぜ語りにくいのか
本のコンセプト
震災から10年の節目の少し前から、今日に至るまで、筆者らは「浜通り震災ゼミ」の活動を行ってきた。福島県浜通り地方の被災地や震災伝承施設でフィールドワークを行い、著書を出版し、震災関係のイベントやNHK福島などのメディアを通して、震災について考えを伝えてきた。
現在20歳前後の若者たちは、あの震災を経験から語ることができる最後のほうの世代だ。
本書のテーマは、メディアや学校が描くものとは少し違った、福島の若者の感覚である。
筆者らは、たとえ被災経験者だとしても、震災特番や学校教育がとりあげるような、打ちのめされ喪失した被害者でもなければ、感動的な物語を提供する弱者でもない。そしてそのような人々の代弁者でもない。震災特番や震災イベントの演出にもしばしば複雑な気持ちになる。そもそもここいわき市の、あるいは福島県のほとんどの人は、筆者らと同様にそんなマイノリティのようなマジョリティなのだ。
世間的に震災の話は賞味期限切れの今さらなネタにみえるかもしれない。しかし復興は終わっていないどころか、これから重要な段階に入る町もある。それに、たとえ復興に区切りがついても、伝承や鎮魂の営みはこれからもずっと続くことになる。震災から10年が経ち、復興五輪と呼ばれた東京オリンピックも終わった今でも、震災について考える機会をもち、接点が失われないようにしたい。
そこで、筆者らは学生や教員というよりも、福島県浜通り地方に住む町の若者として改めて学び、自分の言葉でどのように発信できるのかを探ってきた。

日本福祉文化学会
実践学会賞を受賞!
支えて下さったすべての皆さまに、深く感謝を申し上げます。ありがとうございます。引き続き「浜通り震災ゼミ」をどうぞよろしくお願い致します。
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